北山アゲハ

忘れないために、忘れるために、振り返る

day0

2015/12/29


30代になりたてでまだまだコンペ大好きだった頃、草コンペでは最大規模のノースフェイスカップに出場した。

大会までの一ヶ月は晩ごはんをグリーンスムージーだけにするというハードな減量。クライミング開始以来最軽量の52.8kgを記録。

強豪ひしめく大阪ではなく、静岡のジャムならディビジョン2を勝ち抜けるのではないかという淡い期待で参戦するも、見事に予選落ち。

前年のディビジョン3の本選出場は奇跡だったと改めて感じる。


そしてやりきった感とともに少しエンクラモードに。


当時完全にコンペティターだった僕にとって、岩は気分転換に行くもの。

岩は限界ギリギリの力を出せないと思っていて、全く好きとは思っていなかった。少し前にグラビティ神戸のコンペで優勝したヒロキチさんのパモブラシを羨ましいとも思わないぐらい。


そんな中、福田さんに誘われて3年ぶりの北山公園に。乗り気ではなかったけど、たまには行こうかと考えて行くことに。

3年前には登れなかった『鉄人』をトライ。嫌なイメージはあったが、あっさりと完登。ジムやコンペではあまり感じることができていなかった成長を感じることができて嬉しかった。

その後『福ちゃんトラバース』や『食パンマントル』を触るも、やはり歯が立たない。

岩はやはりそれほど楽しくないな、と思いながら山の上から遠くまで見渡せる大阪湾の景色を楽しむ。


帰る前に福田さんが昔登れなかったという『ショウギノーマル』を触ることに。

スタートのスタンスは百万人スタンスと呼ばれるほどツルツルに磨かれたスタンスで、僕は全く踏むことができない。

そんな中、福田さんはあっさりと登る。あっさりの割には結構嬉しそうな表情。

見ているとこちらも登りたくなり、色々教えてもらいながら何とか完登。結局百万人スタンスは踏めていないがスタートの保持でなんとか登った。

「あ、登れるんだ」ぐらいの感覚で、そこまで嬉しいという感覚もなかった。


実はこれが岩場で初めての1級なのだが、このときは気づかなかった。その前年に初段というグレードに登りたくて、滋賀の『具現』を登っていたので気にしていなかったこともある。


登り終わって帰ろうとすると、福田さんが「横にすごい課題あるんやで」と楽しそうに勧めてくる。


このときに初めてアゲハの岩を認識した。

将棋岩の横にある将棋岩より少し低い岩。


とりあえず触ってみるもスタートの左手を触り、「何もないやん、やっぱり岩はしんどいわ、何が楽しいねん」と感じていた。当然離陸はできない。


こんな岩は登れる訳がないと思いながら帰途につく。



これが初めてのアゲハとの出逢い。



書き始めたらday0が思いの他長文に!