北山アゲハ

忘れないために、忘れるために、振り返る

day66

2020/12/20

2週間の間が開いて北山公園に。
決して指皮のために開けたわけではない。母親が癌になり予後半年と宣告され、バタバタしていた。
そんな時に何で岩に登っているんだという人が大半かもしれない。
現実逃避のために登っているのかもしれない。岩に張り付いているときは他のことを考えなくて済む。

母親にそこまでアゲハのことを話したことはなかったが、登った姿を見せたいという気持ちもある。来シーズンに持ち越せば、登ったという報告ができないかもしれない。何とか早く登りたい。
母親はまだ66歳。今日は66日目。今日にでも登りたい気持ちの一方で、66という数字を最後にしたくないという気持ちがある。
66日目が最後の日で66歳が最期の歳になったら自分を恨んでしまいそうだ。

モヤモヤした気持ちのままアゲハに着くと、以前に瑞牆で会ったエミさんが北山公園まで遠征に来ていた。
打ち込んでいた『十六夜』も、さらには『伴奏者』までも完登。打ち込んだ末に成果を出している。相変わらず元気な人で、モヤモヤした気持ちを少し晴れさせてくれた。

エミさんは僕と同じ打ち込み系だからか、インスタグラムでたまに応援のメッセージをくれていて、今日も応援とともにチップスターをくれた。
「どこかでチップスター好きなことを公言してたっけ?いや偶然か。」そう思いながら、これはアゲハを登ったら食べると決めて、ありがたくいただく。

肝心のトライはというと足が抜けて左リップが止まらない。霰混じりながらもコンディションは良かったのだが、最後の一手が止まらない。
2週間あけたものの指皮はいまいち回復しきっておらず、テーピングを巻いている限界なのか。
いや、結局止まらないのは左足が抜けているからではないか。

やっぱり登れないか。

それでも初めて登れないことにホッとした気持ちでトライを終了した。
66は最後の数字ではない。