北山アゲハ

忘れないために、忘れるために、振り返る

day61

2020/3/20

もう来ないかもしれないと思っていたが、35歳を悔いなく迎えようと思って34歳最後の日に北山公園に。
御岳で『イントーキョー』を触って、やはりアゲハを登りたいと感じていた。

そして何より60日目のインスタグラムの投稿で、ヒロキチさんや伊藤さんが「day61で登ればいい」と言ってくれて、目が覚めた。
来シーズン始まって1月か2月に登りたい」とかなり先のことを考えていた自分が嫌になり、61日目で登ってやると奮い立ってアゲハに。
この二人はいつも気合が入ったトライをしていて、エネルギーをもらえる。

もうシーズンは終わりだ。来週の心配はない。指に穴が開くことなんか気にせずに、テーピングはせずに、穴が開くまでトライしよう。

アゲハに着くとこちらのやる気とは対照的な、マイペースで飄々とした藤原さんがいて癒される。

そして今日は気温が高い予報だったから、いつものジーンズではなく、タイツに短パンで挑む。
これが良かったのか、下部の足あげがいつも以上に楽に感じる。そのスムーズさが上部にも伝わり、左手をリップに出しやすい。

なぜ今まで短パンを履かなかったのだろうか。コンペでは当然なのに。決して舐めていたわけではないのに、寒いからと言って長いズボンでやっていた。
自分が甘いとしか言いようがない。

5トライ目。
下部に全く淀みはなく、左カチへ。穴が開いてもいい覚悟で左カチをひく。両手は限界でその場所に留まっていることすら困難だが、右スメアで身体を引き上げる。
2度、3度。少し身体があがるがまだ遠い。4度。かなり近い。左手が届く。

そう信じて左手を出すと、完全にリップを捉えた。

左足も右足も切れていない。
踏みとどまったか。

その瞬間右手が抜けていた。
またしても藤原さんの緑のマットの上に。

今までで一番惜しいトライだった。
前回は限界だと思ったのに。自分で勝手に限界と決めていただけだ。

しばらくマットに正座したままで動けない。
限界かな、そう思って左手を見るが穴は開いていない。
今まであれほどすぐに裂けていた指皮が今日はなぜか破れない。
諦めるなということか。

その後トライを繰り返すも、登れず。それでも穴は開かない。ただ、指の中の組織はぐにゅぐにゅに柔らかくなっていて、ついにはスタートすらできなくなる。

出し切った。
後悔は全くない。最高の34歳最後の日。