北山アゲハ

忘れないために、忘れるために、振り返る

day54

2020/1/25

先週のトライの感触で、今日は登れると信じて北山公園に。
先週の動画を見せると、登れる気配を感じた福田さんも駆けつけてくれる。
それでも指皮は回復したとは言い難く、藤原さんと指皮を比較して、自分の指皮の弱さに驚く。

岩に触るとコンディションは悪くはなく、絶対に登れると意気込む。

いつも通り指皮に気合をいれるためのファーストトライ。
アゲハは指皮へのダメージが大きく、それに比例するように指先の痛さも大きい。
しかし、不思議なもので本当に痛いのはファーストトライだけ。一度指先に痛さを覚えさせると、2回目からはあまり痛みを感じなくなる。

人間の身体はどうなっているのか。
痛みが強過ぎると、脳は痛みを伝えるセンサーをシャットダウンするのだろうか。

いずれにしても、ファーストトライは左足をあげたあたりで指先が痛過ぎて降りることになる。シャットダウンする効果が一週間以上続けばいいのに。

2トライ目以降が登れるチャンス。
そして5トライもすると指の中の組織が柔らかくなり高度が出なくなる。
本気のトライをできる回数が少ないことが歯痒い。

4トライ目。
左カチは持てている気がするが、身体の位置があがらない。むしろ右手のピンチが持てていない。
登れると思っていたのに。

左手の指先を確認すると少し毛羽立っている。
左手出しをするためには負担が大きく、左カチはもう持てなさそうだ。

今日もダメだったか。

今日アゲハの前に着いたときには登れると信じていたのに。
このまま帰りたくない。

そう思い、久しぶりに右手あげをしてみることにした。左カチを強く持たなくてもよいから、右手あげならできるかもしれない。

昔より上手くなっているかもしれない。気分を入れ替えて右手あげに挑戦。
いつも通り左カチを押さえると、狙いを定めて右手をあげる。
ホールドを捉えた。そう思ったが左カチが耐えきれず落下。

どちらにしてもダメだった。

マットから降り、少し立ち尽くす。

ふと足元を見ると血痕が。どこか猫パンしたかなと、手の甲側を見るがどこも怪我していない。
まさかと思って手をひっくり返すと、左人差し指から血が出ている。

一番大切な指。

左カチを握るために、左手出しをするために、アゲハを登るために最も重要な指。

深く穴があき、流血している。
傷の治りが遅い僕は、完全に治るまでは3週間から1ヶ月。
北山公園の一番コンディションがいい時期もあと一ヶ月ちょっと。

なぜ、指にダメージがあったのに右手あげをしてしまったのか。悔やんでも悔やみきれない。
自分の浅はかな判断を嘆く。